2019年01月17日

有機栽培と農薬

有機栽培だから農薬は使っていないでしょう?という質問を時々、お客様からいただくことがあります。今日は、その問いにお答えしたいと思います。

実は、有機栽培では農薬を使います。
農薬を使っていないと思っていたのにだまされた!と思うかもしれませんが、これについてはもうすこし、説明をさせてください。

農薬、と一言で言っても、有機栽培で使用を許可されている農薬の種類は限定されています。人体への影響はもちろん、畑の周りで生きる様々な生き物の生態系や土壌や水質のことまで、配慮した農薬のみ許可されていて、使用量も厳しく制限されています。

たとえば、今シーズンから栽培をはじめた茄子のハウスでは最近「サンクリスタル乳剤」という農薬を使用しました。アブラムシやウドンコ病の防除に使用される薬剤です。

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アブラムシの出す分泌液で、葉や実がベタベタします。今のところまだ影響は少ないのですが、傷や成長不良の原因になります。

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葉っぱの裏にもアブラムシが付着しています。彼らは、茄子から栄養を吸いとって生きています。小さい吸血鬼たち。。

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作物に勢いがあると、多少の虫には負けませんが、アブラムシが増えすぎると、写真のように弱ってしおれてしまいます。

この農薬の主成分は「脂肪酸グリセリド」です。耳慣れない成分で不安に思われるかもしれませんが、この成分自体に毒性はなく、植物油が原料です。アブラムシなどに直接散布して、体表に油膜をつくり、気孔をふさぐことで窒息死させるというものです。生物濃縮(https://ja.wikipedia.org/wiki/生物濃縮)によって、環境に負荷をかける可能性もありません。

毒性がある成分でも、濃度を守れば人体への影響はない。という理論も事実ですが、一定の条件を外せば、これも非常にあいまいなものです。微量であっても、個体ごとの蓄積や他の成分との組み合わせ次第では、どんな影響が出るかわからないというのが現実です。作物や、環境への影響はもちろんですが、散布するスタッフへの負担も心配です。

散布すれば、アブラムシを駆逐できる薬は存在していて、それを使えば綺麗な作物を収穫することができます。出荷前に、茄子の実を拭いたり、選別したりする手間も軽減できます。それでも使い続けた先にある問題、食べる人の健康はもちろん、日々耕している土地に住む生き物たち、その生き物の中に含まれる私たち自身のことを考えるならば、それを利用しない、それ以外の対策を考える、というのが、私たちの選んだ方法です。

病害虫は、作物の力が弱っている時に多く発生します。私たちも、病気になったら薬を飲むことがありますが、その前に、少しのウィルスは跳ね返すような元気な体と、免疫力を保つために食事や運動、生活環境などを整えています。

茄子は、今シーズンから栽培に着手したばかりで経験の蓄積が少ない作物です。他の土地でうまくいっている方法をまるごと取り入れても、ここでうまくいくとは限らないのが、生き物相手の仕事の難しく、また面白いところだと思います。

どんな食事(肥料)を気に入ってくれるのか、量と樹勢のバランスはどうか。日照や温度、湿度など最適な生育環境を探ることも、日々実践、驚きと発見の連続です。
posted by 大地と自然の恵みスタッフ at 00:00| Comment(0) | 有機なす | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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