8月の青柚子からはじまって、柚子収穫の本番は11月です。お隣の物部町は全国でも有数の柚子の産地。普段は人影もほとんどない山間の柚子畑が、収穫を手伝う人々がやってきて、急に賑やかになっています。

柚子には沢山採れる表年と収穫が少ない裏年がありますが、今年は表になったようで、比較的沢山の実をつけています。
山間の寒い地域でも栽培できるので、野性味があって、タフなイメージのある柚子ですが、普通に見た目の良い果実を作ろうとすれば、実は結構農薬の使用量が増えてしまう作物なのです。しかし、他の柑橘では主に、果汁や果肉を食べて、外側の皮は捨ててしまうのと比べて、柚子の場合では黄色い外皮の部分を使うことが多いため、残留農薬の影響もかなり気になります。
気象条件によって、多く発生する病害虫の種類は変わりますが、今年は気温高めで雨は少な目という条件で「ミカンサビダニ」の被害が多くなりました。この虫は体長約0.2mmぐらいと、とても小さくて、目視で確認するのは難しく、葉っぱや果実に異変が出てからようやくそれとわかります。今年は春も早い時期から気温が上がり、晩秋になってもなかなか気温が下がらないので、虫が元気で活動できる期間が長くなっていることも影響しているでしょうか。

サビダニによって外皮が黒ずみ、ざらざらになった果実。食べても害はないのですが、もちろん出荷はできません。
わたしたちの畑でも、有機栽培で使用を認められている、環境への影響が少ない農薬(マシン油など)を何度か使用していますが、それでも使用回数は制限されており、これらの病気を完全に防ぐのは到底無理。さらに柚子の木には大きく鋭いトゲが沢山あり、大風が吹くと、果実に傷がついて跡になったりそこから傷んだりして、さらに出荷できる量が減ってしまいます。色々言い訳みたいになりましたが、なかなかの手間をかけつつ、ようやくお届けできる有機の柚子なんです!ということで、ちょっと見た目は悪いかもしれませんが、味と香りは太鼓判。今だけの季節の味を是非お試しいただきたいのです。

収穫時は鋭いトゲから手を守るため、革の手袋と袖カバーは必須!